万年筆の線の強弱の表現に魅せられた人が、最終的に行き着く万年筆がパイロットの「カスタムヘリテイジ912(FA/フォルカン)」です。
ペン先が非常にやわらかく、グワングワンしなります。
普通に書いていても線に強弱が出やすいです。
過去記事で紹介したエラボーのペン先に満足できなかった方は、フォルカンを使ってみるのもいいと思います。
エラボーよりフォルカンの方が断然ペン先がやわらかいので。
ただ、フォルカンはコントロールが難しい個性的な万年筆なので、使う人を選びます。
人によっては…
- インクフローが良すぎる
- 線が太すぎる
と感じるかもしれません。
上記の点を含め、カスタムヘリテイジ912 フォルカンの特徴をレビューしてみました。
目次
カスタムヘリテイジ912 フォルカンのデザイン
フォルカンのペン先は、一般的な万年筆の王冠状のものとは大きく違います。
ご覧の通り、ペン先の両端が半円状にくり抜かれています。
ペン先の両端をくり抜いて、"あえて"ペン先の剛性を弱めることによって、筆圧がペン先に伝わりやすくなっています。
ですので、少し筆圧を加えるだけで簡単に線の強弱が出せます。
一般的な万年筆と比較してペン先が段違いにしなりやすいです。
ペン先以外は、特に特徴的な部分はありません。シンプルで使いやすい形状です。
これぐらいのシンプルさが潔くていいですね。
たとえば、パイロットはキャップレスやシルバーンといった、極めてユニークなボディの万年筆も販売していますが…
個人的にカスタムヘリテイジ912のようなシンプルな形状の万年筆のほうが好きです。
学校や仕事場で使っていても変に悪目立ちしませんからね。
フォルカンのボディは、割と長めです。LAMY2000と比較すると、頭一つ分フォルカンの方が長いです。
私はペン先の近くを握りしめるように持つのではなく、やや後ろの方を持って書くので、長めに作ってあるペンは好みです。
カスタムヘリテイジ912 フォルカンの書き味
フォルカンは弱い筆圧でもペンがしなりやすいです。
ですので、フォルカンで文字を書いていると、まるで紙の上でタップダンスをしているような感覚になります。
この感覚をコントロール出来ないと、あなたがフォルカンをコントロールするのではなく、フォルカンにあなたがコントロールされることになります。
良くも悪くも個性の強い万年筆なので、慣れるまでには時間がかかると思います。
特に、筆圧が強い人の場合、思いのほか線に強弱が付いてしまうので、フォルカンよりエラボーの方が使いやすいと感じるかもしれません。
エラボーは強く筆圧をかけても、そこまで線幅は太くなりませんが、フォルカンの場合はかなり太くなります。
とはいっても、ペン先にある程度 筆圧をかけないと最大幅まで線幅は太くならないのですが…要するにこの感覚が難しいということです。
筆圧が弱めの人、撫でるようにペンを寝かせて文字を書く人は、わりとすんなりフォルカンの書き味になれるのではないかなと思います。
ちなみに、筆圧をかけて限界までペン先を広げて書くと、インクが途切れるので注意が必要です。
フォルカンは、ペン先と紙との接地面積(ペンポイント)がやや大きめで、インクフローが良く、スムーズに文字が書けます。
ただ、若干インクフローが良すぎる気がしますが…、この辺は個体差の問題もあるでしょうからなんともいえませんね。
もしインクフローが良すぎると感じる場合は、調整してもらえばOKです。
パイロットの万年筆は、購入から一年以内なら無料で修理、または調整してもらえますので。
この辺のアフターフォローの良さは、さすが日本の会社。さすがパイロットといったところですね。
カスタムヘリテイジ912 フォルカンのペン先のやわらかさ
カスタムヘリテイジ912 フォルカンのペン先のやわらかさは、こちらの動画で確認してみてください。
筆圧が素直にペン先に伝わっているのがわかると思います。
フォルカンとよく比較されるエラボーですが、エラボーのペン先はフォルカンより反発力が強いです。
筆圧を高めても、フォルカンほどペン先が広がりません。
カスタムヘリテイジ912 フォルカンの価格
カスタムヘリテイジ912 フォルカンの定価は2万円(税別)です。
日本の工場でしか作れない特別なペン先を使っているのにもかかわらず、そこまで高くないんですよね。
しかも、amazonか楽天なら定価から約5000円オフの値段で購入できますから、割とコスパいい万年筆だと思います。
まとめ:カスタムヘリテイジ912 フォルカンはこんな人におすすめ
- カリグラフィー用の万年筆がほしい人
- 万年筆の線の強弱を存分に楽しみたい人
こういう人に、カスタムヘリテイジ912 フォルカンはおすすめです。
ただ、個性の強い万年筆なので、メインの筆記用具として使うのではなく(もちろんメインで使ってもいいですが)、サブの1本として使うのが良いのではないかなと思います。
たとえば、なんとなく勉強がはかどらないときにフォルカンを使うと、良い気分転換になって集中力をキープしやすいです。
本記事で紹介したフォルカンと同様に、やわらかいペン先をもつパイロットの万年筆「エラボー(SEF)」については、下記の記事で詳しくレビューしています。
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